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和食のコース料理といえば「懐石(もしくは会席)料理」ですよね。現代ではほぼ純粋な意味での「懐石料理」を供している日本料亭は少なく、懐石と会席を意味合いとして明確に区別している料亭も少なくなりました。
そうした傾向も踏まえて、ここでは一般的に懐石及び会席料理という「コースで料理が出てくる」日本料亭の場で必要なマナーの知識をご紹介します。
目次
料理をいただくにあたって
料理というのは、洋の東西を問わず、作り手は趣向を凝らし、旬の素材を使い、「食する側」を思い遣る心配りを尽くしています。
その中でも日本料理というのは、素材、食器、部屋の飾りなど、隅々にまで気遣いをすることで、空間も料理を楽しむ素材として重要視されています。
そのような「気遣われた空間」でいただく食事である懐石(会席)料理は、いただく側も作り手の心に応えて、感謝の心をもちながら丁寧に食すことが何より大切になってきます。そしてその「感謝の心」が1番目に見えやすいのは「お箸の使い方」なのです。
タブーになるお箸の使い方
- 迷い箸
…器の上で、何を箸にとるか迷ってしまってお箸をうろうろとさせてしますことです。懐石(会席)料理においては、先付(突き出し)料理で、小鉢がいくつか並んで「八寸」と呼ばれる料理がでてくることがあります。そうした種類がいくつかある料理の場合、この迷い箸が起こりやすくなるので要注意です。 - 刺し箸…和食でしばしば使用される素材に「サトイモ」がありますが、このようなぬめりのある素材をいただく際には、お箸でつかみにくいので、つい料理にお箸を刺してしまいがちですよね。しかし、料理にお箸を刺してしまうのはマナー違反。確かにキレイに盛り付けられた料理にお箸を刺すのはちょっと感謝の心に欠けた行為に見えますよね。ただし、どうしてもつかみにくい料理の場合、片側のお箸を刺してもう一方を使って挟むのはマナー違反にはなりません。くれぐれも2本とも刺すことは避けましょうね。
- 涙箸…汁物、もしくは汁気の多いお料理をいただいた際に、箸の先から汁が垂れていることはありませんか。これは涙箸というマナー違反の使い方です。汁気が多い料理をいただくときは、受け皿に料理をとるか、持っても良い器ならば、器を持ち上げて、口の近くまで持ってきて料理をいただくようにしましょう。
- 渡し箸…器の上に橋をかけるようにお箸を渡すことです。日常の食事ではついついしがちのお箸の使い方ですね。この「つい」が出てしまうのがお箸の使い方なので、できるだけ日常でもこのような使い方をしないように気をつけておきましょう。お箸を置く場所がないのであれば、お店の方に「お箸置き」ありますかと尋ねるとか、どうしてもないという場合には、箸袋を使ってお箸置きを作って、それにお箸を置くようにすると良いでしょう。
料理の食べ方のタブー
- お魚をいただくとき…お家のご飯で焼き魚がでてくると、片側を食べたあと、裏側を食べるために魚を返す人が多いと思います。実は懐石(会席)料理ではこの行為はマナー違反なんですね。料亭で丸ごとの焼き魚が出てきたら、まずは片側を食した後に中骨を取り除き、向こう側の身を食べるようにしましょうね。中骨を取り除く際には、頭を手で押さえても大丈夫です。
食後のマナー
お料理が順番に出てくる懐石(会席)料理にあっては、料理が乗せられている器にも気配りがされています。ゆえに、食後はお皿を重ねて返すのは控えましょう。食べた食事の食器は、最初に置かれた場所に戻し、蓋等がついていたものは蓋もしておきましょう。このとき、食器は必ず重ねないようにしてくださいね。
懐石料理で持参した方が良いもの
純粋な懐石料理ではなくても、和食をいただきに料亭に行く際に、持っていくと何かと役に立つのが「懐紙」です。魚の骨をとる際に、魚の頭を押さえる時など、手が汚れるかな?という場面で、懐紙があれば手が不用意に汚れるのを防げます。
食べ残しは禁物
コースで出てくる日本料理は、1品の量は多くなくても、ゆっくりと食べるので満腹になりやすい料理です。ただ、和食は「おもてなし」の意味合いが強い料理なので、できる限り残さないで食べるのが最大のマナー。懐石をいただく際には、事前にお腹の満腹具合を調整して出かけてくださいね。