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懐石と会席の意味が厳密に区別されることがなくなった昨今の日本料理ですが、本来は懐石といえば茶の湯と共にあるもの、会席といえば酒宴の豪華な料理、というものでした。
現在では、本来の意味での懐石を楽しもうとすると、茶懐石という看板で料理を提供しているお店に行かなければならないことの方が多いと思います。
また、本来の意味での「懐石」は真の目的は食事ではなく、食事の後に出されるお茶を楽しむことなので、現在の懐石料理とは少し趣が異なりました。ここでは、そんな日本料理における「懐石」と「会席」の料理について、食事が出される順番をご紹介していこうと思います。
目次
懐石の料理順
先述したように「懐石」は本来、お茶を楽しむための一時的な料理、軽い食事という位置づけであるため、一汁三菜が基本となっています。
ゆえに、初めに出されるのもいきなりご飯ものとなります。
- 飯…懐石の最初に出される。量は極少量。
- 汁…懐石の汁は味噌汁が基本。関西では白味噌が、関東では三州味噌が主体の合わせが多いようです。
- 向付…手前に置かれた飯と汁の椀の向こう側に置くことからこのように呼ばれる。ほとんどの場合で刺身かなますです。季節によって酢の物や和え物になることもあります。
- 椀盛…1~3をいただいた後に出される懐石のなかで最も重要とされる料理。塗り椀を用い、具沢山でだしをひたひたとする程度によそった汁物のことです。
- 焼物…現在では、一般的に骨を取り除いた魚の切り身が出されることがほとんどです。懐石のベースである一汁三菜の料理はひとまずここまでです。以下は付け足しとして出される料理です。
- 強肴…一汁三菜のあと、少しだけ物足りないお腹を満たすためとして出される料理です。
- 小吸物…やや背が高めの小さな蓋付きの椀が出されます。これは箸洗、またはひと口吸物とも呼ばれ、箸の先を清め、口を改める意味で出される汁物です。
- 八寸…一辺八寸の杉の器に盛りつけたことからこう呼ばれるようになった料理。通常、海と山のもの2種を盛り付けることが多いです。
- 湯桶…懐石の締めくくり。炒り米やおこげ(湯の子)に湯を注いで、少量の塩を加えたり、湯漬けにしていただくものです。
- 香物…漬物のこと。季節の野菜を漬物にして、2~3種盛り付けます。
以上のように、本来ならば5程度で終了するのが懐石ですが、現代では10まで出されることの方が多く、またこの品数に伴って、お酒が出されることも多くなっています。
会席の料理順
上記でご紹介した懐石の料理順ですが、現代では「会席」も「懐石」もその意味が同じように使用されることが多いので、懐石料理店としているお店でも、会席料理の順で料理が出されることもしばしばです。
ということで、会席料理でも食事順もご紹介いたします。
- 先付…お通し、突き出しとも言われる料理。前菜のような立ち位置のものです。ここから本来のコースが始まるまでの時間つなぎですね。お酒と一緒にいただくのが一般的となっています。
- 吸物…だしが勝負の薄口のお吸物です。前菜、食前酒の味をここでリセットします。料亭の板前さんの腕がよくわかる1品です。
- 刺身…季節の刺身が美しい盛り付けで出されます。季節感を味わえる1品です。
- 焼物…季節の魚や海老、まれに肉類が焼いて出されます。器も豪華なものが使用されることが多いので、器も楽しめる料理です。
- 酢の物…焼物が油分を多く含む場合が多いので、ここで1度箸休め的に酢の物が出されることが多くあります。
- 炊合…季節の野菜などが煮物として出されます。筍やかぶ、魚など、趣向を凝らした煮物が楽しめます。
- 蒸し物…茶碗蒸しに代表されるような、蓋付きの器で出される料理です。
- 揚げ物…季節の野菜、海老など、ここでメインの料理がおしまいとなる最後の品です。お酒を飲む人はここまでにしておきましょう。
- ご飯・味噌汁・香物…食事の締めです。ご飯などが運ばれてきたら、お酒は最後にしましょう。
- 水物…食後の果物のことを指します。お店によっては、ここで少し豪華なデザートを出すお店もありますが、基本的には季節の果物が出るのが一般的です。
以上で会席のコースは終了です。
ただし、会席のコースはお店によって5~8で順番が異なったり、価格によって品数も異なってくるので、上記のものが全てではありません。